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コラム

従業員の敵?味方?「働き方改革」の鍵となる「産業医」とは

up to date : 2020.02.25

院長 小林 晶子(内科・神経内科)

診察・治療をしない医師「産業医」の権限とミッション

国を挙げて進められる「働き方改革」では、長時間労働への対策、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援を目的に「産業医」の活用が強く求められています。

産業医の大きな特徴は、病気の診断や治療はしないこと。従業員の健康状態や業務への適性を評価する「面談」を行い、その上で「治療が必要か否か」「就労が可能か否か」「労働時間の制限や配慮の必要性」などを評価。医学的見地から従業員の健康状態を判断し、企業と従業員の中立な立場で、双方にとっての最善の策を出すのがミッションなのです。

正しい判断・評価をするために産業医には情報収集の権限が与えられ、企業は産業医に対し、残業が月100時間超の従業員の氏名の報告や、健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員に関する情報提供が義務づけられています。

従業員を追い込む“ブラック産業医”の存在

しかし近年、「メンタルの不調で休職した従業員が回復してきたのに、産業医がさまざまな理由を付けて復職を阻み退職に追い込まれた」と、トラブルになるケースがありました。弁護士らが厚生労働省に申し入れを行った事例では、一度面談をしただけの産業医が「統合失調症」「混合性人格障害」などの病名の診断をし、復職不可と判断したとしています。

しかもこの産業医は精神科の医師ではなかったとのこと。先述したように産業医は病名の診断しないため、もしこれが事実であれば極端な逸脱行為であり、本来の産業医としての役割を果たしているとは言い難いでしょう。

産業医の育成が「働き方改革」推進の鍵に

多くの産業医は、従業員の今後や生活のことを考慮し「復職」するにはどうすればいいかを念頭に置きますが、時には「復職したい」と言う従業員の意に反する判定を下すことも。なぜなら、産業医は、会社組織の中での本人の役割や仕事内容から復職の可否を判断。早すぎる復職が本人の負担となり、回復しつつあった疾患が悪化して休職・復職を繰り返すケースもあるため、復職判定には慎重さが求められるからです。

「働き方改革」の中で産業医の役割は増していますが、現状では産業医を選任している事業所は全体で87%。50~100人未満の中小企業では80.9%に留まっています。その要因の一つが、産業医の圧倒的な不足。現在、養成研修・講習を修了し実働しているのは3万人程度で、一方、産業医を必要としている事業所は16万カ所以上とされています。

今後、産業医をどう育成していくかが、「働き方改革」の重要なポイントとなりそうです。