新橋、虎ノ門エリアでビジネスマン向けの健康診断を行なっているチーム メディカル クリニック。夜の付き合いや運動不足からくる体重増加などの悩みを抱える方も多く、痛風に悩む患者さんも多いとのこと。患者さんからよく相談されることや、痛風に関して気になるポイントを小橋医師がわかりやすく説明します。
痛風の初期症状
よく聞く痛風の痛みは、正確にいうと痛風発作という発作のことを示します。痛風発作は痛風関節炎ともいわれ、尿酸の結晶が関節に沈着することで、ある日突然、腫れと激痛を起こします。前日まで何も症状がなくても急に痛みだすことも痛風発作の特徴です。
症状の特徴
- とにかく激痛
- 赤く腫れている
- 熱を持っている
歩けなかったり、仕事も手につかない程の痛みが襲いかかることも多いため、痛風になってからでは遅いのです。
痛みの原因
血液中の尿酸値が上昇しすぎると高尿酸血症になります。そして血液に尿酸塩が溶けきれずに関節内に尿酸塩結晶という結晶ができ、ストレスや尿酸値の急激な変動により関節に沈着した尿酸塩が剥がれ落ちてしまいます。すると白血球がその尿酸塩を異物と判断し処理しようと働くと、その部位で炎症が起こります。この炎症が腫れ上がって激しく痛んでいる状態が痛風発作の痛みの正体です。
高尿酸血症の原因は様々ですが、生活習慣や体質によって腎臓から尿酸を排出する機能が低下したり、暴飲暴食などが原因になると考えられています。
痛みはどの程度でおさまる?
1~2週間程度で治ることが一般的ですが、痛風の原因である高尿酸血症を放っておくと発作を繰り返すので、継続して治療することをおすすめします。
痛くなりやすい場所(痛風関節炎の起こりやすい場所)
- 足の親指の付け根(最も多い)
- 足首
- 足の甲
- ひざ
- 手首
- ひじ
痛みを感じる場所は足が多いです。また痛みを感じるのは一度に一ヵ所だけで、複数起きることはあまりありません。
その他の痛風の特徴
女性は痛風にならないって本当?
はい。おおむね当たっています。痛風になる割合の95%は男性です。女性ホルモンには尿酸を排泄する働きがあることから、100%とはいえませんが、女性は痛風になりにくいことは間違いではありません。
痛風になりやすい人とは?
- 仕事が命の熱血タイプ
- 記者などに多い、不規則な仕事スタイルの方
- 運動のしすぎや、激しい運動を好む方
- 肥満の方全般
- 早食い、大食いの方
- 飲酒習慣のある方(特にビール)
- 油っぽい食べ物や魚卵系などを好んで食べる方
- 身内に痛風の人がいる方
程度によりますが、このような傾向のある方は痛風になりやすいタイプといえます。
尿酸値が高い人は要注意
尿酸値が7.0mg/dLを超えることを「高尿酸血症」と呼び、痛風をはじめとする様々な合併症の黄信号です。痛風発作がないからといって油断していると危険です。他の病気になる可能性もあることを十分に考えておきましょう。
痛風になった人がなりやすい病気
- 腎障害(慢性腎不全など、腎臓機能の低下)
- 痛風結節
- 尿管結石
高尿酸血症の状態が続くと、尿酸の血症が身体のあちこちに沈着しはじめ、痛風発作をはじめとする様々な症状を引き起こします。
痛風の対策と予防法
自分でできる痛風発症時の対処法
- 患部を心臓より高い位置に置き固定
- 患部を冷やす
- 家にある痛め止めを飲む(バファリンやイブなど飲んだことのある薬が安心)
温めたり、もんだりすると逆効果。無理に歩き回るのも禁物です。
まだ間に合う!痛風&尿酸値を下げる対策
食事の量を抑えて、体重を落とす
- 適正カロリーを守る
1日で摂取する適正カロリーの目安は「標準体重×25~30kcal」 - プリン体の摂りすぎには注意
魚卵や内臓などのプリン体の多い食品は「たまに」「少し」で食べる頻度に注意 - アルカリ性の食品を積極的に食事に取り入れる
野菜、海藻、牛乳などを積極的に摂取するように心がけてください
アルコールを減らす
アルコールが増えると摂取エネルギーも増える上に、痛風のリスクも高まります。量を考えて飲みましょう。尿酸値を上げない1日の飲酒量の目安は下記の通りです。
- ビール : 500ml
- 焼酎25度 : 90ml
- 日本酒 : 180ml
- ワイン : 180ml
- ウィスキーもしくはブランデー40度:60ml
水分を摂る
1日2Lを目安に積極的に水分を摂りましょう。
⇒尿酸は尿から排出されるため、尿の量が増えれば、体内の尿酸が体の外へ出やすくなります。
適度な有酸素運動
ウォーキングのような軽い有酸素運動を継続して行うのが効果的です。
ストレス発散
痛風になる人は、せっかちで行動的な人が多いといわれています。のんびりリラックスを心がけましょう。早食いに大食いで、仕事はバリバリこなし、プライベートもじっとしていない等、このようなタイプの方は、ストレス発散法を飲食や過食にせず、十分な睡眠、適度な運動など、体に優しい自分なりのストレス解消法を見つけてください。
痛風は再発する?
①飲み薬で尿酸値を下げる。②生活習慣の見直し。この2つを継続していけば、痛風は再発しにくくなります。しかし大抵の人は痛みがなくなったと同時に薬をやめ、生活習慣も元に戻ってしまうことが多いので、この場合は痛風が再発してしまうでしょう。
痛風が心配な方に当院が行なっていること
- 体に痛みがある場合、痛風かどうかの診断
- 疼痛(とうつう:ズキズキとうずく痛み)に対する適切な薬剤の処方
- 尿酸値を6.0mg/dLいかにするための薬剤の処方
- 採血検査
- レントゲンで関節を確認
- 生活習慣の見直しサポート
- 痛風や尿酸値についてのガイドブック配布
痛風の治療に処方する薬
痛風の治療には、尿酸値と腎機能などを調べる血液検査を定期的に行いつつ、医師の処方した尿酸の排泄を促す内服薬で血中尿酸をコントロールしたり、尿酸値をコントロールする薬を長期間服用してもらうこともあります。
他にも下記のような薬を使用することがあります。
・消炎鎮痛剤:発作時の治療に用います。
・ステロイド:局所麻酔入りのステロイドを関節に注入し、炎症を抑えます。
・コルヒチン:前兆症状や発作の沈静化に有効です。
整形外科で痛風の診断
痛風は通常、臨床症状や血液検査での血中尿酸値から診断が可能です。また、確実な痛風の診断方法は、痛風発作が起こっている時の関節の中に尿酸塩の結晶があることを証明することです。痛風発作が起きた直後では尿酸値が正常なことや、高尿酸血症を伴わない偽痛風(ぎつうふう)や化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)などの痛風と似た症状を持つ疾患もあるため、整形外科ではレントゲンや血液検査の所見を踏まえて診断します。
痛風に限らず生活習慣指導も実施しておりますので、高血圧・高血糖・脂質異常と診断された方や、飲酒・喫煙が多い方など、痛みや異変を感じる前に、対策することが重要です。
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