早期糖尿病を改善するための食事療法と運動療法についてわかりやすく解説

 


早い段階で診断された糖尿病については食事と運動の習慣を見直すことで症状が改善することが十分に期待できます。この記事では初期症状の糖尿病と診断された方や糖尿病予備軍の方のために、効果的な食事療法と運動療法について糖尿病内科専門医の吉田医師が説明します。

糖尿病の食事療法 7つのポイント

腹八分目

腹八分目に医者いらずということわざがあるように、「あともう少し食べたいかな?」と感じるくらいが腹八分目とされています。腹八分目を習慣にすることで過剰摂取を避け、体に適切なエネルギー摂取量となります。

食品の品目はできるだけ多く

たくさんの品目の食品を摂取することで、バランスの取れた栄養を食事から摂り入れることができます。

脂肪は意識して控えめに

摂取カロリーを減らしやすくするために、揚げ物や脂肪を多く含む肉類の摂取は控えめにしましょう。

1日3食を規則正しく

1日2食や1食の食事習慣の場合、空腹時と食後の血糖値の差が大きくなり血管が傷つきやすくなってしまうことがあります。1日3食を規則正しく摂ることで血糖値の上昇を抑えることができます。

食物繊維の多い食品

野菜、海藻、きのこなどの食物繊維の多い食品を意識的に摂りましょう。便秘改善はもちろん、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げる効果、食べ過ぎを防ぐ効果なども期待できます。

ゆっくり、よく噛んで食べる


ゆっくり噛んで食べることで満腹中枢が働き、食べ過ぎを防ぐことができます。他にも唾液がたくさん出て、消化における胃腸への負担も少なくなり便通の改善も期待できます。

単純糖質の多い食品の間食を避ける

お菓子や果物、ジュースなどの糖入り飲料に含まれる単純糖質の間食を避けましょう。食事以外の糖質の摂取により血糖値が高い状態が続いてしまうと、糖尿病を悪化させてしまう恐れがあります。

自分に適切な食事の量はどのくらい?

糖尿病と診断された方もそうでない方も、自分の適切な食事(エネルギー)の量を知りたいと思ったことはありませんか?次の計算式で65歳未満の方の年齢と体重別におけるエネルギー摂取量の目安を計算することができます。

● エネルギー摂取量(kcal/日)= 目標体重(kg) x エネルギー係数(kcal/kg)

目標体重=[身長(m)]² x 22

エネルギー係数の目安
デスクワークが中心のビジネスパーソン 25〜30
歩くことも多い営業などのビジネスパーソン 30〜35
肉体労働がメインあるいは活発な運動習慣のあるビジネスパーソン 35〜

172センチ70キロの男性のエネルギー摂取量は?

実際に172センチ、70キロ、デスクワークが中心のビジネスパーソンのエネルギー摂取量を計算してみましょう。

目標体重は 1.72×1.72×22=65キロと算出され、上の表からエネルギー係数は30とします。

65×30=1950 kcal/日

というエネルギー量が算出されました。

実際の食事の量に置き換えてみると次のようなイメージです。

1日1950kcal程度の食事目安
朝食 納豆ご飯普通盛り(413kcal)+味噌汁(33kcal)+ほうれん草のおひたし(25kcal)+バナナ(72kcal)=543kcal
昼食 牛丼並盛り(733kcal)+生野菜サラダ(23kcal)=756kcal
夕食 ご飯普通盛り(252kcal)+サバの味噌煮(279kcal)+きゅうりの酢の物(23kcal)+ひじきの煮物(67kcal)=621kcal

上記のカロリーを合計すると、543+756+621=1920kcalとなり目標のエネルギー量におおむね近いメニュー計算となりました。

ご自身のエネルギー摂取量を計算し、日々の食事の量が食べ過ぎでないかを確認してみてください。

 

糖尿病を改善する運動療法の効果

運動を習慣づけることで、下記のような効果が期待できます。
・血糖値の低下やインスリンの働きの改善
・減量効果
・筋力の衰えや骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防
・高血圧や脂質異常症の改善
・心肺機能や体力向上
・ストレス解消

 

どんな運動がいいの?

軽い散歩ジョギング水泳などの有酸素運動が効果的です。強度としては体感的に楽にできる〜ややきついと感じる程度で、ゆっくりと十分に息を吸い込みながら全身の筋肉を使うことを意識してください。また、腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどの軽い筋トレも合わせて行うことで、より効果を高めることができます。
※ややきついと感じる運動の脈拍目安は50歳未満では100〜120拍/分、50歳以上では100拍/分未満が目安です。

METsとエクササイズで運動強度の基準を数値で確認できます

・METs(メッツ 強さの単位):身体活動の強さが安静時の何倍に相当するかを表す単位。
(例)座って安静にしている状態=1METs、普通歩行=3METs

・エクササイズ(量の単位):運動や身体活動の量を表す単位。METs x 時間で計算します。
(例)普通歩行を20分した場合 3METs x 20分(0.33時間)=約1エクササイズと数えます。

1エクササイズに相当する身体活動の目安

METs(運動の強度) 運動 生活での身体活動
3METs 軽い筋トレ20分、バレーボール20分 散歩20分
4METs 速足15分、ゴルフ15分 自転車15分、子供と外で遊ぶ15分
6METs 軽いジョギング10分、エアロビクス10分 階段歩行10分
8METs ランニング7-8分、水泳7-8分 重い荷物を運ぶ7-8分

 

どのくらい運動をすればいい?

上記の表を参考に、64歳未満のビジネスパーソンの場合は3METs以上の強度の運動を毎日60分= 23エクササイズ/週
が理想です。例えば、平日に毎日1時間、土日に1時間20分くらい歩くことができると23エクササイズとなります。ご自身の運動量が足りているか確認してみましょう。

港区 新橋で糖尿病外来を行なっています

東京港区 新橋駅から徒歩7分のチーム メディカル クリニックでは毎週月、火、木曜日の13:00-16:00の間に糖尿病外来を行なっています。日頃の食事と運動習慣の改善を心がけつつも糖尿病について不安な方や既に症状がある方はお気軽にご相談ください。虎ノ門ヒルズ、新橋、内幸町、霞ヶ関のいずれの駅からも徒歩圏内で、お仕事の合間のお立ち寄りに便利です。

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