3テスラMRIの特長とデメリットとは? 1.5テスラMRIとの違いを放射線技師がわかりやすく解説

MRI検査が初めての方や、どこでMRI検査を受けたらいいかを迷っている方のために実際にMRI検査を毎日行なっている野澤 放射線技師が3テスラMRIの特長やデメリットを踏まえ、1.5テスラMRIとの違いを一般の方にわかりやすく説明します。

3テスラMRIの特長とは?

2倍の磁力で2倍高画質

多く普及しているMRI装置は1.5テスラという磁力の強さなのですが、3テスラMRIは1.5テスラの2倍の磁力を出すことができるので1.5テスラMRIに比べて約2倍高画質な画像を撮ることができます。どのくらい画質が異なるのかを例えると、少し大げさですが昔のブラウン管のテレビと液晶ハイビジョンテレビくらいの違いがあるでしょうか。

高画質は高精度な診断につながる

画像が高画質で精密だと脳神経や眼神経などのとても細い神経や、細かい血管までクリアにはっきりと確認できるので、医師にとって病気や怪我の診断がとてもしやすく精度が格段に上がるといえます。例えば1.5テスラMRIではぼんやりとしか映っていなかった症状も3テスラMRIでははっきり見えることが多いです。

検査時間を短縮することも可能

1.5テスラMRIでも、できるだけ高画質に画像を撮れるように設定することは可能なのですが、そのようにすると通常の検査より時間がかかってしまいます。3テスラMRIは最初から高画質なので、診断が十分にできる画像精度に調整することで1.5テスラMRIでは30分かかる検査を20分程度に短縮することもできます。これは狭いところにいるのが苦手な人にはとてもメリットがあります。

大学病院や総合病院で採用

中規模の病院でも採用されているMRIは1.5テスラの場合も多く、3テスラMRIは主に大学病院や総合病院で採用されています。小さなクリニックで3テスラMRIを導入しているところは珍しいのですが、当院は脳神経外科と整形外科に力を入れているので、より高画質にこだわった3テスラMRIを導入しました。

CTやレントゲンとの違いは?

レントゲンは筋肉や組織の部分はほとんど見えないので、肩の脱臼や骨折や骨折などの状態を正面(一方向)から確認するのに適しています。CTは360度方向から放射線を体に当てるので、骨折で例えると骨折線が一方向からではなく、3D的に確認できます。MRIの場合はレントゲンやCTでは確認しずらい神経、血管、靭帯や軟骨のなどの状態を確認するのに適しています。それぞれの検査自体に優劣があるわけれはなく、検査の種類で診断できる箇所や内容が異なります。

CTとレントゲンは放射線、MRIは磁力

CTとレントゲンは共に放射線を使うので体が被曝してしまうのですが、MRIは電気を通して人工的に作った磁場で画像を撮るので被曝することはありません。

3テスラMRIのデメリットは?

タトゥーをしていると火傷の可能性

3テスラMRIは1.5テスラMRIに比べて磁力が強いので、検査時に発生する熱も強くなり体がより熱くなりやすいです。ですから最近は若い人にも多くなってきたタトゥーをしている方は、その部分が3テスラMRIの検査中に火傷をしてしまうこともあるので検査をお断りする場合があります。 1.5テスラMRIですと3テスラMRIに比べて体が熱くなりにくいので、例えば背中にタトゥーが入っていても腰のMRI検査ができる場合があります。

ヒートテックを着ていても検査できる?

できる場合とできない場合があります。例えば頭のMRI検査の場合、体はMRIの中に入らないので当院ではOKとして検査いたしますが、お腹のMRIなどの場合は検査着に着替えて頂きます。また、医療機関によってはどの部位のMRI検査でもヒートテックは禁止というケースも多いです。

100キロを超える人は検査ができないことも

MRIの径の大きさは機種によって異なっており、CT検査に比べるとMRI検査の径は小さいです。体重が100キロを超えているような体格の大きな人はそもそもMRIの中に入れないことがあります。以前も筋肉質で肩幅が広いスポーツ選手が当院のMRIに入れないということがありました。体格の大きな方は、事前に医療機関でMRI検査が可能か確認してみましょう。

体内に金属がある場合は要注意

過去の手術などで体内に金属が埋め込まれている場合はMRI検査の前に必ず主治医にご相談下さい。金属の種類によってはMRI対応の場合もありますが、基本的に金属を埋め込んだ手術後8週間はMRI検査ができません。こちらも1.5テスラ、3テスラMRI検査の両方に共通することです。

選べるなら3テスラがおすすめ

1.5テスラMRIと3テスラMRIを選べる場合で上記のデメリットに該当しない場合は、より高画質で診断精度の高い3テスラMRIを選ぶことをおすすめします。

大学病院には1.5テスラと3テスラの両方があります

大学病院や総合病院では1.5テスラMRIと3テスラMRIの両方を導入していることが多いです。ですが、大きな病院でMRI検査をしたいと思った時には3ヶ月待ちだった。。というようなケースも多いでしょう。

MRI検査を受ける医療機関の探し方は?

すぐにMRI検査ができればラッキー

基本的には自宅や職場の近くで医療機関を探していただいて問題ありませんが、MRI検査は混み合っている場合が多いので、すぐにMRI検査ができる医療機関がある場合はラッキーです。また、保険診療の場合のMRI検査は医師の判断で必要とされた場合のみ検査が可能です。人間ドックの場合は自由診療なので医師の診察がなくてもMRI検査が受けられます。

3テスラMRI検査の金額は?

一般的には腕、肘、腰などの一部位の検査は保険適用で約8,000〜9,000円程度です。医療点数の関係で当院のように放射線科医が在籍していない場合は3テスラでのMRI検査でも1.5テスラMRIでの算定となり、割安な6,000〜7,000円程度で検査が受けられることも例外としてあります。

検査時の注意事項は? 検査時の服装も自由でOK

何を着ていけばいいですか?と聞かれることがよくあるのですが、服装は自由です。基本的なメイクも問題ありません。(カラーコンタクトや、ジェルネイルのラインストーンは外して頂きます。)アクセサリーやベルトなどの金属類も外して頂くだけなので、検査には普段の服装でお越しください。検査前には金属探知機で確認しますし、もし金属などのついた衣類が検査に影響する場合でも、常備してある検査着に着替えて頂くだけで問題なくMRI検査が受けられます。金歯や銀歯なども非鉄金属なので、MRI検査には差し支えありません。

検査中は目を開けていてもいい!?

どちらでも大丈夫ですが、検査時は検査音が発生しますので目は閉じて頂いた方がよいかもしれません。当院では騒音を緩和し少しでもリラックスして頂くためにヘッドホン越しにクラシック音楽を流しています。

このように、MRI検査を受ける場合は基本的に気楽な気持ちで普段通りお越し頂いて大丈夫です。

  

  

この記事を監修したスタッフ野澤 放射線技師

このような方はご相談ください

  • MRI検査を受けたい
  • MRI検査が初めて
  • すぐにMRI検査がしたい