放射線技師ってどんな仕事?仕事内容からやりがいまで現役放射線技師に徹底インタビュー


MRI検査やレントゲンの撮影を行う放射線技師とはどのような仕事なのでしょうか?当院でMRI検査を中心に業務を行なっている野澤放射線技師にインタビューしました。これから放射線技師を目指している方のために、現役放射線技師ならではの情報をお伝えします。

放射線技師になったきっかけとは?

自分の場合は家系に医療職が多かったことが一番のきっかけだと思いますが、私は生まれた時から先天性の心臓病を持って生まれ、18歳まで医療機関での経過観察を受けながら育ちました。現在では心臓病の手術も終え、強い運動制限などもなく完治という診断を受けているのですが、医療がとても身近な環境で育ちました。また、自分は物理や数学が得意だったので、それらの勉強とも体系的に関連性のある放射線技師になることに決め、専攻のある大学に入学し放射線技師になりました。

放射線技師になるまでの歩み

高校卒業後、医学部保健学科 放射線技術科学を専攻できる大学に入学し、病院の実習や国家試験の勉強をしました。放射線技師の資格を取得し、大学卒業後はすぐに医療機関に就職しました。自分は大学を卒業しましたが、放射線技師になるには大学ではなく、専門学校を卒業して資格を取得される人の方が多い気がします。

放射線技師の具体的な仕事内容とは?

レントゲン、MRI、CT、透視など、医療機関で放射線や磁気を用いた医療画像の撮影を行うことが主な仕事です。大学病院などでは核医学検査、放射線治療、歯のパノラマ撮影などを行うこともあります。現在の職場ではMRIの撮影が主な仕事で、他には整形外科のレントゲン、健康診断でのバリウムなども行なっています。

放射線技師のやりがいを感じる時はどんな時?

やはり良い画像を撮れた時でしょうか。具体的には、患者様の病気の原因が判断できる画像をしっかり撮ることができて、それが医師の正確な診断につながる。そして患者様にも画像を見て病気の症状を納得してもらえたら、良かったなと思いますよね。また、今は小さなクリニックで働いているので、医師との距離感がとても近く、画像を撮影した直後に医師に確認してもらえます。自分の撮影した画像が役に立っている実感をダイレクトに感じることができるので、それも大きなやりがいにつながります。

MRIで実際に撮影した”くも膜下出血の一歩手前”の画像

こちらは最近MRIで撮影した実際の脳の画像で、左右の血管のうち片方の血管の一部が膨らんでいるように見えるのがわかりますか。これは解離(かいり)といって血管の内部の皮がペリッとめくれて剥がれてしまい、血液の通り道が膨らんでしまっています。この膨らんでいる部分の血管の皮が破れてしまうと、皆さんもよく耳にする”くも膜下出血”が起こってしまいます。現在はその症状が起こるまさに一歩手前といったところです。この所見がはっきりとわかる画像は通常の脳ドックでは作成しないのですが、検査中に血管の膨らみに異常を感じたためこの画像は私が追加で作成し、撮影後すぐに医師の診断となりました。患者様は50歳前後の若い方だったのですが血圧が高い方でした。このように一般の方が決して自覚できない病気の原因などを放射線技師の職務として発見できた場合にも、患者様の役に立てたという大きな満足感につながります。

実は楽しい!? 放射線技師にとってのレントゲン撮影

レントゲンには基本的な撮影方法というものがあるのですが、実際の撮影ではマニュアル通りに撮影することは意外と難しいものです。これを患者様の骨格や体型などを見極めてスピーディーに撮影し、自分の想像した通りの画像が撮れるとすごく気持ちがいいんですよね。こんな時は心の中で小さくガッツポーズをしています。

意外にも体力勝負!? つらいことや厳しいこととは

放射線技師として病院で働く場合は足腰がつらいことがあると思います。一時期勤めていた病院では先輩の技師は全員コルセット巻き!ということもありました。病棟では体を動かせない患者様の体を持ち上げて、その下にレントゲン用の板を入れて撮影しましたし、救急の現場でも動けない患者様を移動させて検査したりしていました。また、大きな病院はレントゲン、MRI、CTなどが部門ごとに分かれていて、配属された部門によっては1日8時間立ちっぱなし、駆け回りっぱなし、などということもありましたので、放射線技師は意外と体力勝負の仕事でもあるともいえます。また、良い画像を撮るためには熟練度と知識も必要なので、試験に合格した後も学び続ける姿勢も必要になってくると思います。

放射線技師に向いている人っている?

良い画像を撮って患者様の役に立ちたいと思っていることは前提かもしれませんが、小さなことでも楽しいと思える部分や、好きだなと思えるポイントがあれば向いているといえるのではないでしょうか。例えばMRI検査では限られた時間の中で精度の高い画像を提供できるようにいくつもあるパラメーター設定(画像のスキャンに必要な設定)を調整することがあり、この調整が自分にとっては意外にも楽しかったりします。

資格を取得して良かったことは?

やはり国家資格を持っているという心の安心感があることでしょうか。もしも現職から一旦離れても、経験と知識があればいつでも復帰できる。長い人生において食いっぱぐれることはほとんどないという気持ちは人生に前向きになることができ、仮に別のことを始める時にも気持ちを後押ししてくれると思います。

将来の目標や、これからやりたいことは?

漠然と思っているやりたいこととしては、情報発信でしょうか。今は楽しくやりがいもあるので、そこまで先のことは考えていないのですが、自分が医療に携わりながら知っていることや、役に立つことを普通の人にもっと伝えることができたらいいですね。

国家試験に受かるためにたった一つ大事なこととは!?

もし、このコラムを読んで下さっている方が放射線技師を目指しているのであれば、最後に一番重要な国家試験の合格のマル秘アドバイスをここで教えちゃいます。「過去問をやってください。」以上、です。自分は試験勉強の時、斜に構えて実習の本を読んだり、過去問以外の勉強で試験へのアプローチを図っていたのですが、これが全然ダメで全く点数が取れませんでした。いよいよまずいと思って過去問をやりだしたら嘘みたいに点数が上がって無事に合格できました。資格取得を目指している方は是非参考にしてみてください。

この記事を監修したスタッフ野澤 放射線技師

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