MRIとCTとレントゲンの違いとは?それぞれの違いや特長について医師がわかりやすく解説

レントゲンとCT検査とMRI検査。どの検査も放射線技師が行っている画像を撮影する検査なのですが、それぞれの検査はどのように違うのでしょうか?実際にそれらの検査で診断を行っている整形外科の小橋医師に説明してもらいました。

X線のレントゲンとCT検査、磁場のMRI検査

レントゲンとCT検査は放射線であるX線を体に照射し画像を撮影する検査です。それに対してMRI検査は磁場での検査になります。CT検査とMRI検査はともに筒状の装置に入るのですが、まずはX線か磁場なのかで検査の種類が全く違うことが第一のポイントです。

レントゲンとCT検査の違いについて

このようにレントゲンとCT検査は同じ放射線を用いた検査なのですが、二つの検査の違いはレントゲンは一方向からの画像をX線によって一瞬で撮影するのに対して、CT検査はX線を360度から当て続け、得られたデータを元に画像を作成し、骨だけの3Dであったり、身体を1ミリずつ輪切りにした状態などを確認することができます。

レントゲンとCT検査の所要時間のと被曝について

レントゲンは撮影で数秒、複数の撮影を行なっても数分で検査が終了しますが、CT検査では5〜15分くらいの所要時間が必要です。ですから被曝量という意味ではCT検査はレントゲンの何倍も被曝してしまうことになります。しかし、これらの放射線検査の被曝による発がんなどのリスクはタバコやアルコールなどの生活習慣によるリスクに比べて非常に小さいと考えられていますので、基本的には安心いただいて大丈夫です。

レントゲンの検査の特長

整形外科ではレントゲンは基本の検査といえます。被曝量も少なく一瞬で終わりますし、レントゲンだけでも多くの基本的な体内の情報が得られます。骨のくっきりとした輪郭を確認したい場合はレントゲンに勝るものはありません。

CT検査の特長

CT検査の得意なことは、レントゲンに映らないような微細な骨折の確認や、骨の全体の状態を細かく撮影することなどです。整形外科の場合ですと骨折の形状による種類がとてもたくさんあるのですが、それらの種類を見分けるにはCT検査をしなくてはわからないことも多いです。また、整形外科で手術をする前には骨の全体の状態を細部まで確認する必要があるので、その際にも必ずといっていいほどCT検査を行います。他にもCT検査では、MRI検査では苦手な心臓や肺の検査も行うことができます。

MRI検査の特長

それではMRI検査では何がわかるのかといいますと、軟部組織と呼ばれる、筋肉や軟骨、神経や臓器などの様子を確認することが得意です。例えば骨折の場合、ヒビの線はMRIでは確認しずらいこともありますが、骨折している骨の内部に炎症や出血が起こっていることなどがわかります。微細な骨折かと思いレントゲンを撮ってみても骨折線は写っていない。そこでMRI検査を行うと出血が写っていた。すると骨折線は見えないけど、骨挫傷かな、などと診断できます。他にもMRIは骨肉や臓器の腫瘍を写し出すのに優れています。

軟部組織の検査におけるMRI検査とCT検査の違い

少し専門的になってきますが、実はCT検査でも軟部組織の撮影は行うことができます。臓器の血流の流れはCT検査できれいに撮影できて、がんの腫瘍部分をCT検査で撮影するのは病院では当たり前です。ただ、その腫瘍の細かい様子を確認するにはMRIがさらに適しています。CT検査でおそらく〇〇腫瘍などと、おおよその診断をした後にMRI検査でさらに正確な診断のために必要な情報を増やすような感じでしょうか。大きな病院ではレントゲン、CT検査、MRI検査と3種類の検査を行うことは一般的です。

子供の肘の骨折ではMRI検査が必須? MRIでの骨折の診断とは

写真は当時のものなのですが、私の長男が5歳の時、公園の鉄棒から落ちて右肘を骨折しました。骨折後に肘の骨を元の正常な状態に戻さないまま成長すると、肘が変形したまま大人になってしまうことがあるため、子供の肘の骨折の診断はかなり難しいと言われています。子供の骨折は軟骨部分がレントゲンでは映らないことが多いので、精細に骨の状態を確認できるCT検査での診断が適しています。しかし当院にはCT検査がなかったので、長男はレントゲンを撮影した後にMRI検査を行いました。MRI検査で骨に大きな損傷がないと診断できたので、CT検査は行わずにギブスで固定して治療することにしました。

検査の種類は診断するための選択肢

たまたま当院ではMRI検査ができましたが、MRIがなければCT検査を行なったと思います。このように、どの検査が優れているという訳ではなく、あくまでも状態をより詳しくとらえて診断し、治療することが目的です。その手段としてレントゲンとCT検査、MRI検査という選択肢がある。という認識がよいのではないでしょうか。

MRIがある整形外科とない整形外科ならどっちがいい?

選択肢があるなら、最初からMRIのある整形外科がおすすめです。当院ではスペースの関係もありCT検査は行なっていないのですが、MRI検査ではCT検査の大部分を補うことができ、かつCT検査ではわからないことが数多くわかります。整形外科では骨以外に体幹、軟骨、筋肉、靭帯、皮下組織と臓器以外のあらゆる体の箇所が関わっているので、それらを詳細に確認するにはMRIが最適といえるでしょう。なお、当院でも行なっている脳神経外科では神経や血管の様子の診断が基本となるため、必ずMRI検査が必要になります。

レントゲンとMRIの画像の比較

参考としてレントゲンとMRIの両方で同じ箇所を撮影するとどのような違いがあるのかをお伝えします。こちらの症状は腰椎の圧迫骨折なのですが、このようにレントゲンでは骨が圧迫されて変形しているように見えます。

同じ箇所をMRIで確認してみると、白く光っていますね。このように炎症と痛みの原因を目視で確認できます。

最後に3ヶ月後のMRI画像がこちらです。白い光が薄くなっていて、痛みもなく完治した状態です。このようにMRI検査ではレントゲンやCT検査では確認できない症状も確認することができます。

この記事を監修した医師整形外科 小橋医師

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