診察時間・予約
お問い合わせ
アクセス

整形外科

肩が痛い!痛みの原因・検査方法など専門医が解説

肩を上げようとすると痛い、夜中に肩の痛みで目が覚めてしまう、腕に力が入らない——そんな症状でお困りではないでしょうか。

肩の痛みを「年のせいだろう」と放置してしまうと、病状が進行し、症状が慢性化してしまうことがあります。原因によって治療法が異なるため、正確な診断が何より重要です。

このコラムでは、肩の痛みを引き起こす代表的な疾患の原因・症状・検査方法・治療法を、専門医がわかりやすく解説します。

肩の痛みを引き起こす主な疾患

肩の痛みにはさまざまな原因があります。代表的な疾患として以下の3つが挙げられます。

  • 肩関節周囲炎/凍結肩(五十肩・四十肩)
  • 腱板断裂(けんばんだんれつ)
  • 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)

正確な診断が治療の第一歩となります。

1. 肩関節周囲炎/凍結肩(五十肩・四十肩)

肩関節周囲炎は、肩関節の周囲に炎症を起こし、肩まわりが硬くなる疾患です。
40〜50代に多く発症することから「四十肩」「五十肩」とも呼ばれています。

一般人口の2〜5%が発症するとされており、特に糖尿病の方は発症リスクが高く、糖尿病患者の10〜20%に発症するとの報告があります。

主な症状は、肩を動かすときの痛み・夜間痛・可動域の制限(腕が上がらない・後ろに回しにくい)です。
髪を整えたり着替えたりといった日常的な動作が困難になる方も少なくありません。
多くの場合は数ヶ月〜2年程度で自然に軽快しますが、適切な治療を行わないと症状が長期化することがあります。

肩関節周囲炎のレントゲン画像

2. 腱板断裂(けんばんだんれつ)

腱板(けんばん)とは、肩関節を支える複数の筋肉の腱が集まった組織で、肩の安定性と動きに重要な役割を果たします。
この腱板が加齢や外傷によって損傷・断裂した状態が「腱板断裂」です。

肩の痛みがある方で、50代では約15%、60代では約25%、70代では約50%に腱板断裂があるとされています1)。
ただし断裂があっても無症状の方も多いため、症状と画像が一致するかどうかを判断する必要があります。

腱板断裂では五十肩と似た症状を示しますが、腕を上げるときに力が入りにくい、肩の前上面でジョリジョリとした軋轢音(あつれきおん)がするといった特徴があります。
夜間痛による睡眠障害が受診のきっかけになる方も多くいらっしゃいます。

腱板断裂のレントゲン画像

3. 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)

腱板の中にカルシウムの結晶(石灰)が沈着する疾患で、40〜50代の女性に多くみられます。激しい痛みが突然生じることが特徴で、夜間に突然の激痛で目が覚めることが初発症状となることも多い疾患です。

原因の詳しいメカニズムはまだはっきりとわかっていませんが、肩の使いすぎによる微細な損傷や、ホルモン・代謝の異常が関与している可能性があるとされています。

石灰沈着性腱板炎のレントゲン画像

肩の痛みに共通する主な症状

肩の痛みを引き起こす疾患に共通する主な症状を以下にまとめます。

  • 肩・腕を動かすときの痛み
  • 夜間痛(夜中に痛みで目が覚める)
  • 腕が上がらない・後ろに回しにくい(可動域の制限)
  • 腕の力が入りにくい(脱力感)
  • 着替え・髪をとかすなどの日常動作の困難

⚠️ 注意
これらの症状は複数の疾患で重複することがあります。自己判断で放置せず、専門医による正確な診断を受けることが大切です。

検査・診断

肩の痛みの原因を正確に特定するために、以下の診察や検査を組み合わせて行います。

  • 身体所見(医師による診察)

    医師が肩を直接診察し、痛みの部位・動きの制限・筋力などを確認します。
    腕を横から上げたときに特定の角度でのみ痛む、力が入らないといった症状のパターンから、疾患を鑑別していきます。

    Painful Arc sign (ペインフル・アーク・サイン)

    肩を横から上げた際、60°〜120°の間でだけ痛みが走る状態を「 Painful Arc sign」と呼びます。
    これは肩の骨同士の隙間で腱や組織が挟み込まれることで起こるサインで、肩腱板断裂やインピンジメント症候群などで陽性となります。

    ペインフル・アーク・サインの診断イメージ

    Empty Can(エンプティ・キャン)テスト

    親指を地面に向けた状態で腕を斜め前方に上げ、上から抑えられる力に抵抗します。
    このとき、力が入らなかったり強い痛みが出たりする場合は、腱板断裂や炎症の疑いがあります。

    エンプティ・キャンテストの診断イメージ

  • レントゲン(X線)

    骨の変形・骨棘(こつきょく)の有無や、石灰沈着性腱板炎の石灰化を確認するために行います。
    ただし、腱板は軟部組織のためレントゲンには映らず、腱板断裂の正確な評価にはより詳細な検査が必要です。

  • MRI(磁気共鳴画像)

    MRIは、腱板断裂や肩関節周囲炎の診断において特に有用な検査です。
    腱板の断裂の有無・大きさ・範囲、断裂した腱の種類、周囲の筋肉の状態まで、レントゲンでは確認できない詳細な情報を得ることができます。
    治療方針を決める上で非常に重要な検査です。

  • エコー検査

    リアルタイムで動きながら腱板や骨の状態を確認します。
    エコー検査をみながら注射を行うことで、適切な部位へ、より正確に注射することが可能です。

💡 ポイント
当院では院内にMRIを完備しています。
他院へのMRI予約・受診の手間なく、診断から治療までスムーズに進めることができます。

治療法

肩の痛みの治療は、疾患の種類・断裂の大きさ・患者さんの年齢や活動性に応じて選択します。
基本的には保存療法から始め、改善が見られない場合に手術や再生医療を検討します。

  • 保存療法

    消炎鎮痛剤(内服・湿布)による痛みのコントロールや、注射(副腎皮質ホルモン・ヒアルロン酸)、理学療法などが有効です。

  • 手術療法

    保存療法で十分な改善が得られない場合や、腱板断裂の範囲が大きい場合などには適応を考慮し、手術を検討します。現在は関節鏡(かんせつきょう)と呼ばれる細いカメラを使った低侵襲な手術が主流で、体への負担を抑えることが可能です。

  • 再生医療(PRP療法・幹細胞治療)

    近年、手術を避けながら組織の修復・炎症の抑制を目指す再生医療が注目されています。当院では、適応症を考慮しながら、以下の再生医療を提供しています。

    ・PRP療法(多血小板血漿療法)
    PRP療法とは、自分の血液を採取し、血小板に豊富に含まれる成長因子を多く含む血漿(PRP)を精製して患部に注射する治療法です。自己血を使用するため、薬剤のような副作用リスクが少ないことが特徴です。五十肩や腱板の部分断裂において、炎症の抑制・組織修復の促進が期待できると考えられています。

    ・自己脂肪由来幹細胞治療
    自己脂肪由来幹細胞治療とは、自分の脂肪組織から採取・培養した幹細胞(間葉系幹細胞)を患部に投与する治療法です。組織の再生・修復を促すことが期待されています。

⚠️ 注意
再生医療の効果には個人差があります。すべての方に同じ効果が現れるものではありません。治療の適応については、医師が患者さんの状態を診断した上で判断いたします。

まとめ

肩の痛みは、五十肩・腱板断裂・石灰沈着性腱板炎など、さまざまな原因が考えられます。原因によって治療法が異なるため、自己判断で放置せず、専門医に相談することが大切です。

「肩の痛みが続いている」「夜間痛で眠れない」「腕に力が入りにくい」という方は、ぜひお早めにご受診ください。
当院では、院内MRIによる画像診断をもとに、適切な治療方法を提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

参考文献

  • 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」症状・病気をしらべる
    https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html
  • 日本整形外科学会「肩腱板断裂」症状・病気をしらべる
    https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rotator_cuff_tear.html
  • 1)Atsushi Yamamoto et al. JBJS. Prevalence and risk factors of a rotator
    cuff tear in the general population. 2010

この記事を監修した医師整形外科専門医 鈴木医師

このような方はご相談ください

  • 肩の痛みが続く
  • 原因を知りたい
  • 治療方針について聞きたい