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整形外科

痛くて腕が上がらない。四十肩・五十肩(凍結肩)について、専門医が徹底解説

「洗濯物を干す時に肩がズキッとする」「夜、肩の痛みで目が覚めてしまう」「後ろのファスナーが上がらない」……そんな経験はありませんか?

「老化だから放っておけばそのうち治る」という言葉を信じて、痛みを我慢していませんか?実は、五十肩は必ずしも自然に完治するわけではないということが明らかになってきています。放置すると、数年後も肩が上がらない、痛みが残るといった後遺症に悩まされるリスクがあります。

このコラムでは、凍結肩(四十肩・五十肩)の正体と治療方針について、専門医が詳しく解説します。

「いつか治る」という神話を捨て、適切な治療で「ストレスのない日常」を取り戻しましょう。

凍結肩(四十肩・五十肩)とは?|「自然に治る」の勘違い

一般的に「四十肩」「五十肩」と呼ばれるものは、凍結肩、癒着性関節包炎、肩関節周囲炎など、様々な名称が使われています。
正式には可動域に制限があるものを拘縮肩とよび、そのうえ原因不明である場合に凍結肩とよびます。
かつては「1〜2年で自然に治る」と言われてきましたが、長期的な追跡調査によると、発症から平均4年以上経過しても、約41%の患者さんに痛みや可動域制限などの症状が残っていたというデータがあります1)。

⚠️「五十肩は放っておいても治る」という認識は必ずしも正しくありません。

凍結肩の主な症状と経過

凍結肩は、肩の周りの関節包という袋の周りに炎症が生じ、経過とともに厚く固くなった状態です。

以下の3つのステージを経て進行し、各ステージでの適切な処置が異なります。

  • 炎症期(疼痛期):最も痛みが強い時期です。炎症が非常に強いため、この時期の無理な運動は逆効果になります。

  • 拘縮期(凍結期):痛みは和らぎますが、肩が凍りついたように固まります。全方向への動きが悪くなり、日常生活に支障が出ます。

  • 回復期(解凍期):拘縮が改善してくる時期です。自然な回復には限界があるケースもあります。

ただしこの3つのステージは明確に分けられず、それぞれの期間も様々です。

⚠️腱板断裂(けんばんだんれつ)など別の疾患と症状が似ているため、自己判断は禁物です。
  肩の痛みや動きの制限が続く場合は、早めに専門医を受診しましょう。

凍結肩の原因とリスク

特定の原因がない「特発性」が多いですが、以下のリスク要因がある方は特に注意が必要です。

  • 糖尿病・甲状腺疾患・脂質異常症:これらの全身性の持病がある方は、関節包の炎症や線維化が起きやすく、治りにくい傾向があります。
    特に糖尿病患者での発症率は一般の方の約5倍になり、重症化や両側性の発症リスクが高いことが報告されています2)。
  • 加齢と不活動:肩を動かさない習慣や、組織の老化が基盤となります。
  • その他:喫煙、心疾患などもリスクとなります1,2)。

凍結肩の検査と診断方法|「硬さ」のチェック

特徴的な所見として、可動域の制限があります。

  • 身体診察:凍結肩というようにあらゆる方向への動きが制限されています。特に「腕を外にひねる(外旋)」動きが制限されているかを確認します。

    凍結肩の身体診察

  • 画像検査:レントゲンで骨の異常を除外し、エコーやMRIで関節包の肥厚(厚み)や腱板断裂の有無を確認します。MRIでは肥厚した関節包や肩関節周囲の炎症を認めます。

    凍結肩のレントゲン画像

    💡MRI検査は腱板断裂など他の疾患を正確に見分けるために非常に重要です。

  • 内科的チェック:難治化の原因となる糖尿病の有無(HbA1cなど)を確認することが推奨されます。

凍結肩の治療|保存療法と手術療法

治療の現実的なゴールは
1.痛みをコントロール
2.日常生活に支障のない範囲まで可動域を回復させる
ことです。

  • 保存療法(第一選択)

    以下の方法を組み合わせて治療を行います。

    • 注射療法
      関節内やその周囲に注射を行います。
      ステロイドやヒアルロン酸、PRP(多血小板血漿)療法などを使用します。

      -ステロイド注射:炎症期の強い痛みと炎症を抑えるのに非常に有効です。
      -ヒアルロン酸注射:炎症を抑えたり、軟骨を保護したりする効果があります。
      -PRP療法:組織の修復を促す最新の再生医療として注目されています。自費にはなりますが、ステロイドよりも効果が高いとの報告もあります3)

    • リハビリテーション
      物理療法:超音波、ホットパックなどを使用し、痛みを和らげます。
      理学療法:可動域を広げていく可動域訓練、肩甲骨周りの筋肉トレーニングなどを行います。
      日常生活で困らない可動域を確保することを目指します。

    • 薬物療法
      NSAIDs(抗炎症薬)を用いて、リハビリを行いやすい状態を作ります。

    💡適切な保存療法(特に痛みの範囲内での愛護的な運動)を行った場合、約85〜90%の方が満足のいく結果を得られるという報告4)があります。
    つまり、何もしないよりも、適切な管理下での治療が早期の生活改善につながります。

  • 手術療法・処置

    「数ヶ月続けても日常生活が著しく困難な場合」の選択肢です。
    ※当院では手術を行っておりません。ご希望の際は他院へ紹介となります。

    • サイレントマニピュレーション:麻酔をおこない肩を強制的に動かすことで、線維化した関節包や靭帯を破る方法です。

    • 鏡視下関節包切離術:内視鏡で硬くなった部分を直接切り離します。

まとめ

凍結肩は約2〜5%が発症する身近な疾患ですが、放置すると症状が長期化するリスクがあり、勝手に元通りになる病気とは限りません。
適切な診断、治療を受けることで、痛みや動く範囲を早期に改善できる可能性があります。
痛みのない、日常生活に困らない肩を取り戻すために、早めに医療機関を受診し、適切な治療のステップを進めましょう。

参考文献

  1. Hand C, et al. Long-term outcome of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg.2008;17: 231-6.
  2. Joshi A, et al. Frozen shoulder: a review of current concepts. J Orthopaed Traumatol. 2022;23(1): 24.
  3. Juan Enrique Berner et al. Pharmacological interventions for early-stage frozen shoulder: a systematic review and network meta-analysis.Rheumatology.2024 Mar 27;63(12):3221–3233
  4. Diercks RL, Stevens M. Gentle thawing of the frozen shoulder: a prospective study of supervised neglect versus intensive physical therapy in seventy-seven patients with frozen shoulder syndrome. J Shoulder Elbow Surg. 2004;13: 499-502.

この記事を監修した医師整形外科専門医 鈴木医師

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  • 肩が動かず困っている
  • 四十肩/五十肩と言われているけど、治らない