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整形外科

変形性関節症に対する幹細胞治療とは?

治療の概要

幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を取り出し、培養して数を増やした後、膝関節や股関節に注射する治療です。幹細胞の力で炎症や痛みを抑え、関節内の状態を改善します。

  • 培養することで幹細胞の数が増えるため、より大きな効果が期待できます。
  • 国も認める再生医療の一つであり、人工関節などの手術と違い、ひざを大きく切開する必要がなく身体への負担も比較的少ない治療です。

脂肪由来幹細胞の主なメリット

  • 採取しやすい
  • 幹細胞がたくさん含まれている
  • 組織修復に役立つ成長因子が多い
  • 拒絶反応が起きにくい
  • 増殖能力が高い

対象となる病気は、主に変形性膝関節症です。半月板損傷や軟骨損傷など、他の膝関節の病気の症状改善や悪化防止にも期待できます。

症状改善のメカニズム

幹細胞が作用するメカニズムは2つあります。

  • ホーミング効果:幹細胞が身体のSOS信号を受け取り、傷ついた場所に移動して修復しようとします。
  • パラクライン効果:注射した幹細胞が成長因子やサイトカインなどの物質を放出し、周りの細胞に働きかけて修復・再生を促します。これにより炎症が治まり、痛みが軽減します。

PRP治療で使う血小板と違い、幹細胞自体が損傷した細胞に一部変化することも期待されていて、より強い除痛効果と組織再生が見込めると考えられています。

効果と持続性

  • 注射された幹細胞は関節内にしばらく残り、効果がゆっくり出たとしても持続性が高いとされています。
  • 実際に痛みが減ったことが確認、報告されており、2年以上効果が続いたという報告もあります。
  • 国内では、ひざ関節症への注射で、最大7割の痛み改善効果が得られたとされています。
  • 注射後にリハビリ(理学療法)を併用すると、さらに痛みが取れやすくなることが分かっています。
  • 軟骨や半月板が厚くなったという論文もあります。

幹細胞の採取方法(培養の理由)

  • 培養する目的は、身体への負担を最小限に抑えつつ、たくさんの幹細胞を膝に注入するためです。
  • 培養しない場合は50〜200mLの脂肪が必要で、採取量が多くて身体の負担が大きいですが、培養する場合は、豆粒大(米粒2〜3粒ほど)のわずかな脂肪採取で済みます。
  • 採取した脂肪を約1ヶ月かけて培養し、1回あたり約1億個の幹細胞を関節に注射します。

メリットとデメリット

メリット

  • 強力な抗炎症作用が期待できます。
  • 標準治療やPRP注射で治らなかった激しい痛みにも効果的です。
  • ご自身の細胞を使うため、アレルギーのリスクが少ないです。
  • ドーピング対象外なので、運動をしている方も時期を気にせず投与できます。

デメリット

  • 脂肪を取るために、局所麻酔での小さな手術が必要です。
  • 約1ヶ月の培養期間が必要なため、採取から注射まで時間が空きます。
  • 注射後、数日間は痛むことがあります。痛み軽減を感じるまで1ヶ月以上ほどかかることがあります。
  • 保険適用外のため、全額自費診療となります。

治療の流れ

  • 血液検査:感染症がないか調べます。特定の感染症がある場合は治療できません。
  • 組織採取:臍(へそ)の周りを3mmほど切開し、米粒2〜3粒ほどの皮下脂肪を採取します。局所麻酔をするので痛みはほぼありません。
  • 細胞培養:組織を培養施設に送り、約1ヶ月かけて幹細胞を増殖させます。
  • 関節内投与:採取から約1ヶ月後に来院いただき、外来で、通常の関節注射と同じ手技で数分で完了します。
  • フォローアップ:日常生活の制限はありませんが、幹細胞の働きを促す体操(理学療法)を勧めています。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後に診察やMRI検査で効果を確認します。

幹細胞治療を受けられない方・注意点

以下の場合は治療を受けられません。

  • 感染症が確認された場合(培養過程で菌やウイルスが増えるため、安全性の理由から)
  • がん治療中、感染症・発熱がある、薬剤過敏症、免疫抑制剤を飲んでいるなど、他の治療が優先されると判断された方

原則、別の治療をご案内する場合

  • 未治療の関節症・筋腱損傷の方:まずは標準的な保険治療を行います。それでも効果がなかった場合には、PRP治療や幹細胞注射をご案内します
  • 適切な画像検査(特にMRI)をしていない方
  • 前医で十分な治療をしていない、途中でやめた方(標準治療やPRP治療への反応を先に確認する必要があるため)

副作用について

  • ご自身の細胞を使い、関節内に注射するため、アレルギーや重い副作用のリスクは低いです。
  • ただし、注射直後は、関節内の圧が上がったり反応が起きたりして、一時的に痛みが強くなる可能性があります。
  • 効果を左右する要因は、変形の度合い、体重、筋肉量、食生活、運動量、注射後の安静度など、個人差があります。

この記事を監修した医師整形外科専門医 小橋医師

このような方はご相談ください

  • 膝の痛みを解消したい
  • 正座ができなくてつらい
  • 膝が痛くて動けない