この記事の内容
治療の概要
幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を取り出し、培養して数を増やした後、静脈点滴で全身に投与する治療です。幹細胞の力で炎症や痛みを抑え、疼痛の改善を目指します。
- 培養することで幹細胞の数が増えるため、より大きな効果が期待できます。
- 手術のような大きな侵襲がないため、身体への負担も比較的少ない治療です。
脂肪由来幹細胞のメリット
- 採取しやすい
- 幹細胞がたくさん含まれている
- 組織修復に役立つ成長因子が多い
- 拒絶反応が起きにくい
- 増殖能力が高い
治療開始の推奨: 慢性疼痛に対しては、まずは内服や神経ブロック、リハビリテーションなど、従来の治療法を行い、それで治療困難な場合に幹細胞治療を開始することをおすすめします。
症状改善のメカニズム
治療に用いる幹細胞は、ご自身の皮下脂肪に存在する「間葉系幹細胞」(脂肪幹細胞)を培養したもので、これを静脈点滴で投与します。投与された幹細胞は体内で以下の作用を発揮します。
- ホーミング効果:幹細胞が傷ついたところに集まり、血管の新生や損傷した組織の修復を担います。
- パラクライン効果:幹細胞が成長因子やサイトカインなどを放出し、周囲の細胞に作用して組織機能を修復します。
これらの作用により、幹細胞は慢性的に炎症を起こしている部位や、過敏になっている末梢神経障害の部位に作用し、従来の治療法とは異なる機序で痛みの緩和につながる可能性があります。また、原因が分からない疼痛の一部についても軽減が期待できます。
幹細胞の主な作用
- 免疫系の制御
- 血管新生
- 抗炎症作用
- 抗酸化作用
- 組織修復作用
効果が期待できる主な疾患
幹細胞の以上の効果を利用した治療が「幹細胞再生治療」と呼ばれています。効果が期待できる疾患としては下記のものが挙げられます。
- 血管の病気:心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化症予防、糖尿病などによる下肢虚血など
- 骨・軟骨の病気:変形性関節症、リウマチ、慢性疼痛など
- 神経の病気:アルツハイマー型認知症、パーキンソン病など
- その他:糖尿病、肝臓病、免疫疾患(難治性の膠原病)、喘息、ED、AGA、アトピー性皮膚炎など
- 疾病予防:幹細胞や成長因子を増やすことで、疾病予防や若返りも期待されます。
治療の流れ
幹細胞治療には、培養した幹細胞を使用します。下記に治療の主な流れをご紹介いたします。
- 血液検査:ご自身に感染症がないかを調べるための血液検査をします。万一、感染症が確認された場合は、安全性の理由から治療はお受けいただけません。
- 組織採取:傷跡が目立ちにくい臍周囲を3mmほど切開し、米粒2-3粒ほどの豆粒大の皮下脂肪を採取します。局所麻酔を用いるため、術中の痛みはありません。
- 細胞培養:採取した組織を提携する培養施設に送り、約1ヶ月かけて幹細胞を増殖させます。
- 静脈点滴(投与):採取から約1ヶ月後に来院いただき、1回あたり約1億個の幹細胞を静脈点滴にて1時間半ほどかけて投与します。投与後、1時間程度は院内で安静にしていただき、体調を確認してから帰宅していただけます。
- フォローアップ:投与後は特に日常生活を制限することはありません。投与後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月で診察や、必要に応じMRI検査などで治療の効果を確認します。
ご利用いただけないケースとデメリット
ご利用いただけないケース
- 血液検査で感染症が確認された場合(安全性の理由から)
- がん治療中、感染症・発熱、薬剤過敏症、免疫抑制剤を飲んでいるなど、他の治療が優先されると判断された場合
- 疼痛はあるが未治療の方、または適切な治療プロトコルを踏んでいないと判断された方は、原則として標準的な保険診療の治療をご案内します。
デメリット
- 幹細胞の原料となる脂肪組織を入手するため、局所麻酔による小手術が必要です。
- 約1ヶ月間の培養期間が必要なため、脂肪採取から投与までに時間が空きます。
- 実際の効果を認められる方と、そうでない方がいます。
- 効果が感じられるまでに時間がかかります。(複数回投与する方もいます)
- 保険治療の適応外のため、自費診療です。
リスクと副作用
- 局所麻酔などに対するアレルギー
- 穿刺(採取)部の出血、皮下出血、不快感、感染
- 発熱:投与後に発熱をする場合が稀にありますが、大抵は24時間以内に解熱します。
- 肺血栓塞栓症:幹細胞治療との因果関係は明確ではありませんが、十分に予防措置をとった上で点滴を行います。

この記事を監修した医師整形外科専門医 小橋医師
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